チューブレスタイヤに使うシーラントあれこれ
こんにちは、高橋です。今日はチューブレスタイヤに使うシーラントについてまとめてみたので紹介していきたいと思います。
自分はロードバイク乗りだったので、チューブレスとの出会いは2005年頃のシマノWH-7801SLでした。デザイン的に気に入ったこともあって、お金が溜まったあとすぐ注文したようなことを覚えています。
その時、ロード用のチューブレスタイヤはハッチンソンのFusion2のみで、シーラント剤は使わない完全なチューブレスタイヤでした。他の選択肢は後発でIRCが早めに作っていたような記憶があります。
しかしながら完全なチューブレスというのは少々難しいようで、あまり製品の広がりはありませんでした。歳を重ね、シクロクロスシーンを皮切りに、ロードでも徐々にシーラントを利用したチューブレスシステム「チューブレスレディ」が市場で認められるようになり、一気に普及してきたというのが最近の印象です。
ディスクブレーキ化やリムのフックレス化、タイヤのワイド化などがチューブレスを後押ししていますね。
そして、タイヤメーカーによって推奨するシーラント剤が異なります。もちろんタイヤとシーラント剤を同じメーカーで統一することが安全牌だと思うのですが、シーラントを用意していないメーカーもありますし、なんだか相性が良くないなっていこともありますよね。
世の中にはどんなシーラント剤があるのか、自分なりの目線で紹介してみたいと思います。
ピレリ
ロード用→ラテックス・アンモニア・マイクロシーリング粒子配合
グラベル、MTB用→アンモニア・ラテックスフリー
まず、同じピレリでもタイヤの細いロード用と、タイヤの太いグラベル・MTB用と、それぞれ配合を変えていることに気づきました。
説明にはこうあります。
「アンモニア成分を含むことにより素早くパンクを塞ぐことができます。」
ロードバイクの場合、25cを履かせている人なら高圧で6bar程度まで入れている人も多いかと。対してグラベルやMTBは高くても2〜3barといったロードに比べ低めの空気圧。
高い圧縮率で空気がパンパンに閉じ込められているロードタイヤは、いざ穴が開いてしまうと凄いスピードで空気がブシューっと抜けていきますよね。瞬時に塞ぐ力が問われるのがロード用のシーラントなのだと思います。
< PIRELLI 商品ページ >
スタンズ
定番のシーラントとしてNotubes Stan'sシーラントが挙げられます。ムーブメントでも基本のシーラントとしてはこちらを使用しています。
シーラント剤の印象としては乾くのが緩やかで、液状が長持ちする印象。
ピレリ、スタンズはアンモニアを含んでいます。
ここで若干注意しなければいけないポイントがあって、ホイール側に「アルミリムやニップルを痛める恐れがあるため、アンモニアを含むシーランとは使用しないでください」という注意喚起もあります。
その辺りはリムのアルマイトの強さでも違いがあったり、リムテープの使用で問題が起こらないこともあります。
スタンズには"RACEシーラント"という別モデルも用意されており、こちらは粒子も粒が大きく、固まるのも早め。MTBやグラベル、シクロクロスなどゴリゴリ乗る人にオススメです。
マックオフ
アンモニアフリー。導入初期から空気の保持がしっかりした印象です。
大きな不満もないのですが、乾くのが少し早め。2〜3ヶ月すると乾いてくるので追加が必要です。ちょっと華やかな香りがするのはマックオフのアイデンティティ。家族からひんしゅくを買いがちなホームメカニックには地味にありがたいポイントです。
事例として、長期(半年以上)になってくると内側のシーラントがカス状になってタイヤ内でカラカラと音が鳴っている例もありました。短期→◎、長期→△といった感じなので、半年を目安に継ぎ足しを推奨します。
そんな事例はありましたが、チューブレスに慣れてない人にとっては1番使いやすいシーラント剤と言えるかも。
< MUC-OFF 商品ページ >
ヴィットリア
こちらもアンモニアフリー。シーラントとしては珍しい非ラテックスベースで水性タイプになっています。そのため乾きにくいのが特徴らしく、長期間安定した運用ができるそうです。
固まるのが早いシーラントだと保管中に下に溜まった状態で固まってしまうことがあるので、ヴィットリアは乗る頻度が少ない人でも相性が良さそう。
fujichika マクハル
番外編?
フジチカのマクハルはシーラントの一種ですが、施工方法が他とは違います。1度タイヤにシーラントを行き渡らせたあと、余計な分は抜き取るタイプ。
抜き取った後、タイヤの内側にはラテックスがコーティングされた状態になり、液体は残りません。そのため、チューブレスレディのシステムながらも、完全なチューブレスタイヤと言える状態にかなり近づきます。
シーラントによる重量増やホイールバランスの変化が少ないので、走りを追求したい人にはこちらがベスト。
走行中の対パンク性能については、液体がない分、他メーカーに軍配があがると思います。
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"シーラント剤"といっても、メーカーによって特性が違っていることが伝わってくれれば幸いです。
今回の評価は個人的な意見になりますので人によっては感じ方は違うかもしれませんのでご了承ください。