きっと”相棒”を知る日が来るだろう

こんにちは。
今回の記事は先日、歴史に幕を閉じる報道が出た「ALLCITY」のお話です。
フィックスドギアシーンからダートシーンまで幅広く多くの人を魅了しつづけたオールシティ。
日本では2022シーズンSSCXチャンピオン、BMXマスター日本チャンピオンこと
レペゼン尼崎の腰山選手で知名度があるかと思います。
今回はそんなオールシティに関して、そして一台のバイクのご紹介をしていきたいと思います。

ALL CITYとは

米俗的な訳では「多くの人目に触れるよう、広範囲にグラフィティを残すこと」らしい。NYの地下鉄のストリートペイントなどがそれにあたるのかも知れません。

ブランドとしては創設者ジェフ・フレインの歴史からスタートします。アメリカ・ウィスコンシン州で生まれ、幼少期からMTBに触れ合いながら、大学卒業後にブランド設立の地であるミネアポリスに引っ越してきました。
サイクルショップでメカニックやビルダーとして働いている時に、シングルスピード、フィックスドギアの自転車に出会います。その生活の中で自然と仲間は増え、アーレーキャットなどのレースを開催しながら、ミネアポリス市民の為にサイクリングイベントを開催していきました。

そうやってミネアポリスのサイクリング文化に深く入り込んでいった彼は2009年、ついに「オールシティ」ブランドを立ち上げました。

「僕たちライダーが、他のライダーのためにモノを作るのが僕たちの会社」そう語ったジェフは、1人の乗り手である自分たちが求めるバイクを、自分以外の多くの自転車乗りのために作っていきました。

(普通のバイクでは物足りない変人なので)個人的にも、かゆいところに手が届く、そんな面白いバイクを出しているブランドという印象でした。

ブランドとしてのアイデンティティ

メーカーによって個性が明確化されており、オールシティとしては大きく3つ。
「コミュニティ」「スピード」「スタイル」
この3つに分かれています。

まずコミュニティ。自転車乗りはこれ重要だと思います。
どんなバイクだって、乗っていなければ出会えなかった人がいる。
乗っていたからこそ、出会えた人がいる。
そこから発展し、なにかが生まれる。
先日行われたCMWCやラファプレステージ熊野などでもそういうことがあり、生まれているわけですよね。
出会いのきっかけのツールとしてとの事に当たると思います。

そしてスピード。
これはレースで勝つなどのわかりやすいものではなく、乗っていて体感できる爽快感や躍動感を感じ、楽しもうというところでのスピードです。
誰もが速く走れるわけではないし、誰もが優勝できるわけがない。
その中で、本人が楽しめるひと時を支えるというところもあるのかなと考えます。
バックボーンにストリートカルチャーもあります。
アーレーキャットレースでもメッセンジャーの方などにもスピードは大事になってきます。
そういう面もブランドの裏にはあるので、スピードというエッセンスは大事なのかもしれません。

最後にスタイルです。
時代に左右されにくい古めかしいところもあるけど、今風なエッセンスも入っている、そんな感じのフレームたちを作ってきたオールシティ。
それは長く付き合ってもらおうという、そういう意味もあって作られていると思います。
どんな時代にでも乗っててスタイルが出る。
また、乗る人の毛色に合わせてもスタイルが出ちゃうような。
勝手な自己認識ですけど、そう思っています。
 

そして今回ご紹介するのは「スーパープロフェッショナル」。

コミューター的立ち位置のMACHO MAN、SSCXシーンでも活躍してきたNATURE BOY、これらをミックスしたモデルと言えるのが「スーパープロフェッショナル」です。
両方ともに名作であり、人気モデルであった2台を良いとこ取りで組み合わせた1台です。

基本的な基調はパープルに見れるが、少し青みもあります。
ちょこちょこ見るカメレオンブルーとは違いパープルが強めです。

ちなみにこのカラーの名前は"HOLLYWOOD VIOLET"。
一瞬名前を聞いた際は、マリリン・モンローやエルヴィス・プレスリーが頭によぎりました。

パーツの色は、何があうかなぁ?
無難なところではシルバーやブラック。
同系色のパープルパーツで合わせても◎、オレンジやゴールドなんかでもいいな。
ピンクなんてのも面白いかも。
組む人によって個性が出る1台になりそうです。
 

こういったラグの部分を入れているのは、クラシック要素を入れ込んできてますよね。古い自転車が好きなジェフの趣味が現れている部分かも知れません。

普段シートピンなんて、クロモリバイクでしか見ませんよね。なんなら、最近だとほとんどNJSフレームくらいでしかシートピンを見なくなってきています。
遠い将来、塗装を剥がされたとしても、こういったオリジナルのフレームパーツを見ればこの自転車がオールシティであるとわかります。

タイヤクリアランスは700×45c、650b×47mmまで対応。
なのでコミューターからシクロクロス、グラベルまでも対応してしまいます。(なんと出来る子なの...)

ホイールを履き替え、その日の気分で乗る環境を変えてしまうことも可。
あぁ、今日は未知の道を開拓しようと思えばこのホイールで、今週末はシクロクロスやッ!ってときは、こっちのホイールで。
普段からブロックタイヤってのはなぁって時は、普段のホイールで。
ホイールを付け替えるだけでも1台で何役にもなってくれます。
「家に何台も自転車を置かないで」と言われている、そんなアナタ!
これで怒られなくても済みますよ!

シートチューブの後ろ側、こんなところに穴が空いています。一瞬「FD用?」と思ったりもするかも知れませんが、実はインターナルのドロッパーシートポストに対応しております。

こんななんでも盛りなバイク、そうそうないですよ。
グラベルシーンでは、重要なアイテムとなりつつあるドロッパーシートポストを導入できるバイクになっています。
スーパープロフェッショナルは独身貴族から人権無しの家庭持ちの方まで、すべての方に優しいバイクですよ。

このバイク、一番の見どころというのがこのスライドエンドです。
健全なライダーからしたら「なんやこれ」となるこのパーツ。

そう、シングルスピード化するときには重要なアイテムとなります。
シングルにする際、チェーンのテンションをかけないといけません。その方法はトラックエンド、エキセントリックBB、そしてこのスライダーエンドです。
(筆者、テンショナーは美しくないという考えがあるため選択肢には入れていません)

まぁ、これには少々論争が色々ございまして、エキセントリックBBだとBB位置が変わるので、BBドロップ位置が変わるとか、スライダーエンドだとリアホイール長が変わってしまうとか。
トラックエンドだとディスクブレーキ台座が付けれない等々、シングル信者はこういうことで論争しています。

スライダーエンドの良いところは、ホイール脱着が容易ってところとテンションのかけ方が簡単という点になるかと思います。
エキセントリックBBのように専用工具を使うことなく調整可能ですし、トラックエンドのように初心者だと迷宮入りしそうなテンションのかけ方をしなくとも、エンド器具がついているので安心できます。

シングルで組む人が多そうなスーパープロフェッショナルですが、付属品にはギアード用のエンド金具が付属しています。

選択肢をユーザーに与えられているのです。
「あなたは、変速機のない荊の道を進みますか?」
「それとも、変速機がある普通の道を進みますか?」
まぁ、ここまでの極端な話ではないと思いますが、ユーザーに委ねています。
これを手にしたアナタは、どの道を選びますか?

ちなみにスーパープロフェッショナルのラインナップには、通常のクロモリフォークのものとカーボンフォークのものがあります。このバイオレットはカーボンフォークモデルとなっています。

これは、走り方によって意見が分かれるかと。
コミューターメインや、ランドナー的使用を考えている方にはクロモリフォークが向いています。
ラックだってつけやすい、多少雑に扱っても大丈夫。乗り心地だって安定しています。

逆にシクロクロスや、トラッククロス、舗装路をメインで頑張って走りたい方にはwhiskyのフォークがおすすめです。
No.9 CXはバイクパッキングやアドベンチャーに向けたものではなく、ダボ穴もなくした、軽量化に振ったフォークになっています。
もちろん規格はポピュラーなものになっているので規格で頭を悩ますこともないのですが、フォークを別のものに換えてもらうこともできます。
なので、気負いせずガシガシ使えますね。

612 SELECT DOUBLE BUTTED CRMO TUBING

ALL CITYのクロモリランナップには二つ種類の素材があります。ACEと612 SELECTです。

「ACE」はNATURE BOYなどに使われているもので、強く、軽く、速く、堅くという考えのもとで作られたレースバイク向けな立ち位置です。

それに対して「612 SELECT」は、乗り心地の良さ、軽さを重視している感じです。
「612」はミネアポリス周辺の地域コードであり、地元をレペゼンしているメーカーらしいとこも愛を感じれますね。他のパイプより、強度もあるので長く付き合うことを前提にあるとも思えます。

ガシガシ使っていろんな遊びに付き合ってもらい、時に距離が離れることもあるでしょう。でも戻ってきてしまう魅力がある。
老けていくかのように、傷という名のシワができても愛せる。
冒頭"相棒"と言いましたが、実は伴侶なのかもしれませんね(笑)

※ALL CITY スーパープロフェッショナルの在庫

SUPER PROFESSIONAL CARBON / FRAME&FORK SET (Hollywood Violet)

178,200円(税込)

SUPER PROFESSIONAL - SINGLESPEED (Lemon Dab)

239,800円(税込)