【MAVIC】テクニカルセミナー2023に行ってきました

こんにちは、高橋です!
既にご存知の方も多いかと思いますが、昨年からMAVICのホイール販売をはじめました。ロードレースファンであれば必ず知っていると言っても過言ではない、フランスの老舗メーカーです。

日本にはシマノがありますが、フランスならMAVIC、そんな立ち位置でしょうか。僕はそんな印象があります。
リムやハブ、ホイール、かつては変速機やブレーキなんかも作っておりました。どれも名品と呼ばれるものが多かった気がしますね。(中には珍品もあり...?)

「ホイールはMAVICを使っておけば間違いない」みたいなところもあって、その性能はもちろん、価格とのバランスやルックスなど、僕がロードレースにのめり込んでいた15年くらい前は右を向いても左を向いても"キシリウム"が走っていたような印象の時もありました。ちなみに当時、偏屈な新しいもの好きな自分はシマノが作った初めてのロードチューブレスホイールWH-7801を手に入れて使っていたのでした・・・(って話、誰が興味あんねん)

話を脱線する前にセミナーの話へ。テクニカルセミナーは3年ぶりの開催とのことでした。業界内の話ですが、MAVIC JAPANとなってからは初開催だそうです。

1番の目玉は「COSMIC CARBON ULTIMATE DISC」でした。

チューブレスリム+ディスクブレーキ対応ハブとなったコスミックカーボンアルティメイト。約3年の開発期間を経てようやく完成したそうです。

45mmハイトでありながら前後で1255g(リム部分403g)という軽さ。R2R(Rim to Rim)構造のカーボンスポークは150Nmの張力で組まれています。

通常のホイールでスポークテンションは上限でもせいぜい110〜120Nmであることが多いですよね。数値だけ見ると恐ろしく硬い(パワーロスが少ない)ホイールだと思います。フルカーボンという特性上、微振動などの振動吸収性はあると思いますが、あくまで最上級のレーススペックホイールだなと思います。
体重のある人ほどホイールは撓みやすいので、このスポークテンションの恩恵が大きくなるかもしれません。

新作のシューズがあったりヘルメットがあったり。

気になる方は写真など店頭でお見せできますので是非。

そしてメインのテクニカルのセミナーへ。

ハブのメンテンス方法やチューブレスのリムテープやバルブの扱い、取り付けといったことを中心のセミナーでした。

一般公開されている便利だった情報をシェアしておきます。

各ホイールにおける空気圧の設定
https://technicalmanual.mavic.com/tech-mavic/technical_manual/data/docs/themes/2_72.pdf
※TC=チューブレス、TSS=フックレス、C=クリンチャー

MAVICはリムにも上限空気圧の記載がありますが、 ETRTOやISOのデータは常に更新されているため差異が発生していることがあるようです。
また、リムとタイヤで上限値が違った時は、低いものに準じて使用してください。

補修部品の検索
https://technicalmanual.mavic.com/tech-mavic/technical_manual/data/service.php

上のリンク先で、リムに記載のシリアルナンバーを入力すると使用しているホイールの補修部品を検索することができます。部品の価格などは載っていませんが、お問い合わせなどの参考にご活用ください。

MAVIC独自のID360フリーハブのメンテナンス方法を学べたのでとても有意義なセミナーを受けることができました。
ちなみにムーブメントで扱っているENVEも同様のID360ハブを採用しているため、基本的なメンテナンス方法は同様となっています。ラチェット部品も兼用ですね。

「チェーンが浮くような感じで掛かりが悪くなってしまったので見てほしい」との相談がありました。同様の相談でよくあるのはチェーンの消耗、チェーンリングやスプロケットの摩耗がほとんどなのですが、今回は違いました。

実際に自転車に乗ってみるとどの段数でも同じようなギア飛びをするという感じで、「消耗はしているけどもチェーンリングのアウターもインナーも飛ぶのは珍しすぎる」「スプロケットの全ての段でギア飛びする」という状態だったので、ハブの内部を確認してみると錆やダストが溜まっている状態になっていました。

早速、洗浄してみると少し違和感がありました。噛み合わせが悪いような。。

洗浄&グリスアップをした後に戻して試乗してみるも、症状は改善されずといった結果に。

更によーーーく見てみると、ラチェットが欠けていたり摩耗が目立っているのを発見。引っ掛からないといけない部分が欠けてしまっていたので、強く踏み込むと噛み合わせが外れてしまう、ということでした。

ID360 ラチェット+グリス キット (V2251701)
11,000円(税込)

今回はこちらのラチェットキットを交換したところバッチリ直りました。なかなか値段が張るところなので、こうなる前に小まめなメンテナンスで状態をキープしていくことをおすすめします!

専用グリス単体もございますのでそちらもご活用ください。

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自転車に乗っている時、足を止めるとホイールが空転してくれるということは、動いている部分と動いていない部分に隙間があるということです。

各ホイールメーカーはそのギアと空転する部分(フリーボディ)の構造には四苦八苦していると思います。その隙間を埋めれば防水性は良くなり、汚れの侵入を減らすことができるのですが、回転に悪影響を及ぼします。

回転の軽さと耐久性のどちらも欲しいところですが、(ユーザーから最も求められているので)メーカーはある程度回転の軽さを重視する傾向にあります。
なのでMAVICに限らずとも隙間があることは認識して、雨のライドの後は必ずハブを開けてチェック&メンテナンスをしていれば、壊れず長く使うことができると思います。どんなものでも、手をかけていった方が長持ちするのは共通でしょうね。

ちなみに最近は皆さんバイクを綺麗にする意識が高まり、洗車をする方が増えています。まるでレースメカニックのように泡と水を使って洗車をするのですが、やはり上でお伝えしたような隙間から水の侵入があることが否定できません。

レースメカニックは毎日のように何台も綺麗にし、調整する必要があるのであの方法で合っているのですが、大切に長く使おうと思った場合は少しやり方が異なります。ベストは水洗い洗車+駆動周りの分解メンテナンス、ですがほぼオーバーホールみたいな感じですね。笑

家でできる一番優しい洗車は、ディグリーザーやワックスを布につけながら拭きあげる洗車です。おすすめです。